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#51
日光浴の重要性について

日光浴をする前に 外気浴から

日光浴をする前に外気浴から

最近「日光に含まれる紫外線が皮膚に悪い影響を与える」と耳にすることが多いかもしれませんが健康上のことを考えると、特に妊婦や赤ちゃんには日光は必要です。

赤ちゃんの骨の成長にはビタミンDが必要ですが、ビタミンDは紫外線にあたって活性型ビタミンDに変化しないと効果がでません。
適度な日光浴をすることは、免疫力を高め健康な体をつくるために必要な事なのです。

ただ、生後1か月の赤ちゃんは、抵抗力や免疫力が弱いため日光浴をする前に外気浴から始めましょう。
外気浴とは、お部屋の中から室外の空気に触れて慣れることをいいます。
外気浴は生後2週間を過ぎたあたりから始め、日光浴は生後1カ月を過ぎたあたりから始めるとよいでしょう。
初めての外気浴は窓を開け、窓越しに外から入る優しい風や穏やかな光を赤ちゃんに浴びせます。1日10~15分程度から始めて、紫外線量が少ない朝8時~10時に実施するのがいいでしょうね。赤ちゃんが慣れてきたら少しずつ長めにしていきましょう。

外気浴に慣れてきたら日光浴を始めましょう。ただし最初は直射日光が当たらないようにして外の光を浴びせます。 慣れてきたら日差しの弱い日を選んで、ベランダや庭で過ごす時間を少しずつ作ってもよいでしょう。

適度な日光浴で紫外線を浴びることも大切 日光浴のメリット

適度な日光浴で紫外線を浴びることも大切日光浴のメリット

体内時計が整いやすい
お腹の中から出てきた赤ちゃんは、まだ昼と夜の区別がついていません。外気や光の刺激を受けることで体内時計が働き始めるようになりますので朝から昼間にかけては明るい環境で過ごし、夜は静かな暗い環境で過ごす生活を続けて行き習慣づけるようにしましょう。
生後2~3カ月頃からは夜になると体内時計に働きかけて眠気を誘う「メラトニン」というホルモンの分泌が高められるようになっていきます。
朝起きた後に紫外線を浴びると、夜にメラトニンの分泌が増え良質な睡眠につながると言われているので日光浴は朝がお勧めです。

ビタミンDの生成
ビタミンDは骨の成長に必要なカルシウムを体内に取り入れやすくして、骨化を正常に進行する働きがあります。赤ちゃんにとって欠かせない栄養素でビタミンDが不足すると「くる病」を発症する恐れがあります。
ビタミンDは食べ物からも摂取できますが、骨の成長に欠かせないビタミンDを合成するには、適度な日光浴で紫外線を浴びることも大切なのです。
ただ、過度に浴びすぎると健康上悪影響を起こすこともあるので、紫外線量の強い時間帯(10~14時)に長く外遊びをするのは避けましょう。

〈 注意点 〉
赤ちゃんの肌は、大人よりも薄くて繊細です。
日光に含まれる紫外線は新生児の肌には刺激が強く、負担をかけてしまうことがありますので直射日光にあてないように十分注意しましょう。
赤ちゃんは新陳代謝が活発ですので外気浴や日光浴は体力も使います。終わったら母乳やミルクを十分与えましょう。
起きたばかりや機嫌が悪い時は、無理にさせる必要はありません。
赤ちゃんもお母さんも機嫌のいい時に行うと気持ちがいいですね。

ビタミンDを生成する 日光浴の効果

ビタミンDを生成する日光浴の効果

日光を浴びるとビタミンDが作られ、そのビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促し骨を強くします。
実は、母乳の中のビタミンDの含有量はミルクよりも少ないので、母乳栄養の赤ちゃんはビタミンDが欠乏する割合が高くなります。
母乳栄養の赤ちゃんでビタミンDが欠乏している割合を調査すると、日光浴をしている赤ちゃんとしていない赤ちゃんでは、2.5倍くらいの差があります。
またビタミンDの不足はアレルギー症状を悪化させるという報告もあります。
アレルギーの発症を抑えるためにも、ほどよい日光浴が大切だと言えます。

ビタミンDは、骨のカルシウム代謝に重要な栄養素で、魚類や卵黄、キノコ類に多く含まれていますが、食事から摂取される以外では日光を浴びることによって皮膚で合成されることが知られています。
ビタミンD不足は、日照時間の短い北欧や皮膚を隠す習慣の民族以外は、まれであると考えられていましたが、近年のライフスタイルの変化によって先進諸国においても決してまれでないことが報告されています。
日本でも妊婦のビタミンD不足が問題視されています。以前に比べて、欧米型の食生活となり魚を食べる習慣が減ったこと、屋外に出る機会が減ったこと、過度な紫外線対策をする女性が増えたことなどで、ビタミンDの摂取量や含有量が減少しているといわれています。
妊婦が慢性的なビタミンD不足になると、早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、赤ちゃんの頭蓋癆のリスクが高まります。
頭蓋癆(ずがいろう)とは、赤ちゃんの頭の骨が部分的に薄くやわらかになっていることを指します。指で押すとペコペコとピンポン玉のように凹むのを感じます。
多くは生後2~3カ月で自然に改善しますが、一部はビタミンD不足と関連していて、内服治療が必要になることもあります。
オゾン層が破壊されて、地表に届く紫外線量が増加して、紫外線が健康に与える悪影響が問題になっています。
だからといって、日焼け止めクリームを塗って、過剰に紫外線を避けた結果、ビタミンDが不足して病気になってしまうこともあるようです。
適度に日光を浴びて、ビタミンDを生成することは必要だと言えます。

夜間良い眠りにつけるように、そして昼間は元気に過ごせるように、ママと赤ちゃんの気分転換も兼ねて、外気浴や日光浴を1日の生活のリズムにうまく取り入れて心身ともに健康に過ごせるようにしたいですね。

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次回は 2025年 12 月 25 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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