多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#03
赤ちゃんの五感
その一 視覚・聴覚

お腹の中にいるときから、五感は形成され初めている

お腹の中にいるときから五感は形成され初めている

人間は哺乳動物ですが、同じ哺乳動物と言っても分類によって違いがあります。馬や牛のように、産まれてすぐに歩けるようになる動物がいます。これらは、五感も親と同じように発達していてカラダだけが小さい状態です。赤ちゃんがお腹にいる胎児期は割と長くて、産まれてくる児は1~2匹ほどです。一方、犬猫ネズミなどは生まれてすぐには立ち上がれず、未熟でうずくまったままの状態でママのおっぱいだけを飲んでいる動物たちです。胎児期間は短く多胎で、目も見えなくて五感は発達していません。

では、人間はどっちなの?と考えてみると、産まれてすぐには歩けないけど胎児期間が長く、五感はある程度発達して産まれてきます。そう、人間はどちらにも属しているし、属しもしないのです。本来ならば、五感が発達しているのですからすぐに歩いてもよさそうですが、歩けるようになるまではママのおっぱいを飲んだり、おむつを替えてもらったり、お風呂に入れてもらったりしながら1年かけて歩けるように成長していきます。1年の間に育ててくれる人達との関わり方、いかに育ててくれたかによって、人に対する信頼感、安心感、暖かさ、やさしさなど五感を通して人間になっていきます。母親の関わりだけではなく、周囲の人との関わりがあってヒトから人間になっていくと言ってもよいでしょう。実は、この1年が赤ちゃんにとって大変大切で重要な1年なのです。

それでは、まず五感とはなにか、あかちゃんの五感はどのように発達していくのかをひとつずつみていきましょう。五感とは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、この5つを五感といいます。赤ちゃんは、お腹の中にいるときからある程度五感は形成され始めています。

視覚 赤ちゃんの目はぼんやりと見えている

視覚赤ちゃんの目はぼんやりと見えている

赤ちゃんの目は、見えていないと思われがちですが、全く見えていないわけではありません。色はまだ分からず白黒の世界で、ボーと形を見ている状態です。明るい暗いは認識できていて、まぶしいという表情をすることもあります。両目で焦点を合わせることができないので、目的なく眼球を動かしていることがほとんどです。30cmくらいの大きさのものがぼんやりと見えますので、ママの顔を近づけて見せてあげましょう。特にパパは抱っこが慣れていないので遠くから声をかけたりすることが多いようですが、抱っこをして顔を見せて、しっかり覚えてもらいましょう。

生後2ヶ月をすぎると視力が徐々に発達してきます。だんだん色がわかるようになって来るので赤や緑など、はっきりとした色のおもちゃなどを動かすと目で追うようになってきます。
生後3ヶ月をすぎると、焦点が定まってきてママやパパの表情がわかるようになってきます。
6ヶ月頃からは、だんだん焦点が合うようになってきて、大きさがわかるようになります。見えたものに興味を示し、手でつかもうとします。一人でおもちゃを触って遊ぶこともできるようになります。
8ヶ月をすぎると、人の顔を覚える能力がつくので人見知りが始まります。人見知りは目と脳が発達してきた証拠です。

視力は、個人差がありますが、約1歳で0.2、2歳で0.5、3歳で0.6、6~8歳くらいになると視力の発達が完成します。スマホやテレビは便利で子どもも喜びますが、上手に取り入れて一定の時間を決める習慣にして目を大切に守りましょう。

聴覚 言葉を覚えていくときには聴力がとても大事

聴覚言葉を覚えていくときには聴力がとても大事

聴覚は視覚と違ってお腹の中にいるときから発達しています。お腹の中でママの体内を流れる血液の音や心臓の音、ママパパの声などを感じ取って聞いています。ですから産まれてすぐにママの声がわかります。ただ反応があまりないのは、何の音なのかを聞き分ける脳がまだ発達していないためです。突然大きな音がするとびっくりしたりママの声で泣き止んだりします。

生後3ヶ月頃から「音」がわかり始めると反応が始まります。喃語といわれる「うう」とか「ああ」とか声を出し始めます。ママやパパの声が聞こえた方をみたり、名前を呼ぶとにっこりするようになります。
5ヶ月頃には、音の聞き分けができるようになります。聞き慣れた人の声には特に反応します。
6ヶ月を過ぎると音の意味がわかってきます。名前を呼ばれたら反応したり話している人の口元をじっと見たりします。歌をじっと聞いている事もあります。
10ヶ月すぎると、話している人の口真似をして誰かに話かけているような喃語を話します。リズムに合わせて体を揺らして遊ぶこともできます。

赤ちゃんが言葉を覚えていくときには聴力がとても大事です。ママパパが沢山話しかけてあげて耳で覚えさせていきましょう。そうすればしっかりとお話のできる子どもになっていく事でしょう!!

今回は五感の中から視覚、聴覚のお話をしました。
次回は、嗅覚と味覚についてお届けします。お楽しみに。

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

助産師として多くのママをサポートした経験から、
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