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赤ちゃんの吐き戻し その2
ミルクを吐くと「病気なの?」と思いがち赤ちゃんの胃は戻しやすい構造
せっかく飲んだミルクを吐くと「病気なの?」と思いがちですね。
でも赤ちゃんの胃は戻しやすい構造になっているということを覚えておきましょう。
飲んだミルクが逆流しやすく生理現象的にも吐き戻しが起こってしまうということです。
《 吐き戻しの原因 》
生後1~2か月位は「お腹がいっぱい」と感じる満腹中枢が未発達で与えられた量だけ飲んでしまいます。特に粉ミルクの場合は「よく飲む」と嬉しくて飲ませすぎの傾向があります。乳首の穴が大きければ労力を使わずにたくさん飲んでしまい、それが飲みすぎとなって吐くことはよくあります。
母乳の出が良すぎる場合は、一度搾乳してから飲ませるとちょうどよくなる場合もあります。
混合授乳の場合、母乳のあとミルクを飲ませますが、母乳を飲んでいても母乳の量が分からないのでミルクを多めに飲ませがちです。毎回吐き戻しがある場合はミルクの量を調整してみてください。
また授乳の間隔を少し開けたほうがいいのかもしれません。2~3時間の間隔を空けて飲ませてみてください。
生後3カ月を過ぎると上手に飲めるようになり、吐き戻しも減っていくでしょう。
《 吐き戻しの対策 》
授乳後は立て抱きにしてゲップなど促していると思いますが、それでも吐き戻しがある場合は、しばらく立て抱きにして様子をみましょう。立て抱きにする場合、ゆっくりと動かして立て抱きにしてください。急だと勢いでミルクがでてしまうことがありますからね。
哺乳瓶で飲ませる時もできる限り頭は立てた姿勢で飲ませることも重要です。頭を立てて飲ませると自然に空気が上にあがり空気を飲み込まなくしてくれます。
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十分ゲップが出ていない場合も考えておきましょう。ゲップは1回だけでなく時間をおいて出る場合もあります。
吐いたあとは、30分~1時間くらいは何も与えず様子を見ます。その後何も吐かなければ脱水症状を防ぐために湯冷ましやミルク、母乳を少し与えてみて、それで吐かなければ通常の半分の量をあげてよいでしょう。
《 体調不良の吐き戻しの場合 》
吐き戻しがあっても問題がない場合がほとんどですが、体の具合が悪くて吐いている可能性もあります。
ウイルス性胃腸炎の症状でも、飲んだばかりのミルクや母乳を吐くことがあります。冬になると流行する「ロタウイルス」「ノロウイルス」「アデノウイルス」などが胃腸に感染して起こる病気です。中でも重症化しやすいものが「ロタウイルス」によるもので、下痢になり米のとぎ汁のような白っぽい便がでるのが特徴です。
吐いても機嫌がいい場合は様子をみてもいいのですが、発熱や下痢がある、機嫌が悪くて泣き続ける、苦しそうにしている、顔色が悪い、ぐったりしている、いつもと様子が違う、などの場合は、小児科に受診しましょう。
授乳後5分以内に噴水のように吐く場合、肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)の可能性があります。胃から腸へつながる部分を「幽門」といいますが、この部分が厚くなって出口を狭くするので、胃から腸へミルクの流れが悪くなってしまう病気です。この病気は、生後2~3週目から生後3カ月頃までに発症することが多いものです。最初は、タラタラこぼれるような嘔吐ですが、次第に症状が強くなって、生後1か月頃になると授乳後5分以内に、噴水のように勢いよく吐く状態が繰り返されます。胃にたまった母乳やミルクを腸へ送り出そうとしても、幽門部が分厚くなっているので、腸へは行かず胃にたまってしまい、最後には逆流して口から吐き出してしまうのです。吐いた後でも赤ちゃんはミルクを欲しがりますが、繰り返し吐くようになるのでだんだん体重が減少していき栄養不足や脱水状態となり顔色が悪くなったり元気がなくなったりします。
正確な原因は解明されていませんが遺伝や妊娠中の喫煙による影響が関係しているのではないかと考えられています。
幽門狭窄症の疑いをもった場合はすぐに受診しましょう。
赤ちゃんが吐く時はどんな状態のときかを把握するために日々起こったことをノートに記入しておきましょう。便や尿の状態や回数、何か変わったことはなかったかなど、気が付いたことを細かくメモしておくと病院を受診した際にも役に立ちますよ。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
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