多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#27
なんで飲んでくれないの その2

2023年12月からスタートしたこの連載ですが、今月でちょうど1年が経過したことになります。
その間、延べ3.7万人の方にご覧いただけたこと、とても嬉しく思っており深く感謝いたします。
連載内容については、助産師としての立場から見ての妊娠中から出産後2年くらいの間に起こる事例についてアトランダムに書いてみましたが、内容によってかなり閲覧数に差があることがわかりました。
多く読まれている内容を集計してみたところ、下記がベスト3の結果でした。


3位は、#11 赤ちゃんの吐き戻し

2位は、#08 赤ちゃんが泣くということ

1位は、#09 なんで飲んでくれないの


という結果でしたので、これからの3回は別の角度からみてみようと思います。

40年も前からこのお悩みは常に1番 なんで飲んでくれないの

40年も前からこのお悩みは常に1番なんで飲んでくれないの

私が育児相談を始めたのは40年前ですが、実はこの悩みは常に1番に上がってくる内容です。
皆様のお話を伺っていくと、子供を思う親心から出てくる気持ちがほとんどと言ってよいかと思います。つまり「飲まない」と心配していることは大きな問題ではないということです。
親は少しでも多く飲んで大きく育って欲しいという親心があり、その裏返しだと思います。

とは言え「飲まない」という事で何か原因がある場合もあります。
例えば産院から退院してきて、病院ではよく飲んでいたのに自宅に帰ってきたら急に飲まなくなったという場合。それは環境が変わったということが大きいでしょう。部屋の温度・湿度など違う環境になるわけですから。そういう時は着るものの調節をしてみてください。家庭での室温は寒くなるのを懸念して暖かくし過ぎる傾向があります。
顔が赤くなっていたり、むやみに泣く場合は室温が高すぎる場合があります。
そして産院でのサポートがなくなった分、ママの頑張りすぎや疲れも影響します。怖い顔で抱っこされても居心地が良いわけがありませんね。

飲んでくれない 他に考えられる原因

飲んでくれない他に考えられる原因

《 母乳の場合 》
母乳の味が変わったかもしれません。病院での食事は栄養バランスが取れていますが、自宅での食事で油物が多かったりすると母乳の味がかわり飲まなくなる可能性があります。
そして先程も書きましたが、自宅に帰ると母親としての責任感で気持ちが張り詰めていてゆとりがなくなってしまうことで母乳の出方も変化してしまうことはよくあるようです。
笑顔でゆったりとした気持ちで子育てしてみましょう。ママの気持ちは子どもにすぐ伝わりますし、慣れないことはお互い様です。赤ちゃんと一緒に抱っこや授乳の方法を探っていきましょう。

《 ミルクの場合 》
ミルクの温度があつすぎる、冷た過ぎるなど病院と極端に違うと飲みません。
人肌位がちょうどいいですね。ご自分の腕の内側にミルクを垂らしてみて確認してから飲ませましょう。哺乳瓶の乳首の穴も大きすぎても小さ過ぎても駄目です。母乳と同じように吸って出てくるように調整しましょう。
またミルクの場合3ヶ月過ぎた頃から、急にミルクを嫌がるようになることがあります。
身体は異状がなく普段は元気なのに、ミルクのときになると嫌がって飲まないなどということが起こることがあります。 これは赤ちゃんの身体がミルクを受け付けなくなっているのだと思います。それでも無理して飲ませていると「飲みたくない!」と嫌がる期間が長くなります。
今はミルクを十分もらっているので結構です、他の水分でお願いします。ということだと思いますので麦茶やお水をあげて補ってください。かならず、また元気にミルクを飲むときがきますからね。

上記では身体に何も異状がなくて飲まないというお話をしましたが、下記では異状がある可能性もみておきましょう。

《 鼻が詰まっている場合 》
ミルクのカスや鼻水が固まって空気の通りを塞いでしまい、苦しくて飲めないということがあります。無理して鼻の中の異物を取ろうとすると鼻の中を傷つけてしまう可能性がありますので注意してください。

《 ミルクアレルギーの場合 》
ミルクを飲んだあと繰り返し吐いてしまうときはミルクアレルギーかもしれません。
他に症状としては下痢や血便、蕁麻疹などが出ることがあります。
赤ちゃんの様子をしっかりみて、どんな症状が出ているかを確認しましょう。

《 飲まない以外に症状がある場合 》
ミルクを飲まないという事以外に、熱があるとか不機嫌で泣いてばかりいるなどという症状がある場合があります。

上記の症状があるときは小児科を受診しましょう。

どんなときも母乳やミルクをたくさん飲んで大きくなって欲しいというのは親心ですね。でも赤ちゃんも人間ですから飲みたくない日、疲れた日などあることを忘れずに。
母親として頑張ってください!とはいいません。頑張らなくてもいいのです!
困ったとき疲れたときは周囲の人にそのことを伝えてください。必ず誰かが手を差し伸べてくれるはずです。遠慮しないで助けてもらいながら育児をしていきましょう。
あなたも人のために助ける側に回るときは、必ずくるのですから。

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毎月 第2・第4木曜日に更新

次回は 2024年 12 月 26 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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