多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#04
赤ちゃんの五感
その二 嗅覚・味覚

前回は、視覚、聴覚についてお話しました。
今回は、鼻と口の働きである嗅覚と味覚についてお話しましょう。

嗅覚 産まれたばかりでも成人と同じ位の嗅覚を持っている

嗅覚産まれたばかりでも
成人と同じ位の嗅覚を持っている

赤ちゃんが匂いを嗅ぎ分けられるかどうか、皆さんご存知ですか。私が新生児室で勤務しているとき、実験的に赤ちゃんの鼻の近くにアンモニアのような臭いのあるもの(もっと優しい匂いですが、)を近づけてみましたがとても嫌そうな顔をして顔をそむけたことがありました。この実験で分かったことはかなり嗅覚が発達しているということです。

新生児は視覚があまり発達していない分、危険を察知するために嗅覚が発達したといわれています。嗅覚は、妊娠中のお腹の中から発達していて、産まれたばかりでも成人の嗅覚と同じ位の嗅覚を持っていると言われています。

何人かのママの母乳を染み込ませた別々のガーゼの中から、明らかに自分のママの母乳のガーゼに特別な反応を示す。ということでもわかります。赤ちゃんにママの臭い(体臭)を覚えてもらうために、香水やオーデコロン、アロマオイル、臭いの強い石鹸などの使用は控えたいと思います。最近、よく使われる除菌グッズにも香料が含まれているものが多くありますので使う場合は慎重に選びましょう。

味覚 楽しい経験が多いと好き嫌いなく食べることに繋がる

味覚楽しい経験が多いと
好き嫌いなく食べることに繋がる

味覚をつかさどるのは、味蕾(みらい)と言われるもので、舌の表面にザラザラとした小さな突起がありますが、その中に味蕾は存在しています。この味蕾で、甘い、塩辛い、旨い、すっぱい、苦い、を感知していて、5つの味には、それぞれ役割があります。

甘味は、エネルギー源となる炭水化物の存在を教えます。
塩味は、塩などのミネラルの存在を教えます。
旨味は、肉や魚に含まれるアミノ酸であるタンパク質の存在を教えます。
この3つは、身体に必要な食べ物を教えるために本能的に好まれる味とされています。

一方、
酸味は、腐敗物の存在を教えます。
苦味は、毒物の存在を教えます。
この2つは、身体を守るために避けるべき危険な食べ物であることを伝えるものです。

味蕾で感じる情報は、身体にとって必要なものなのか否かを判断するために大変重要な役割をしています。それらの情報は、脳に伝えられ、大丈夫!というサインが送られるわけです。ですから、ピーマンやほうれん草に含まれる苦味や酸味などは、最初は、苦手であることは当然なことなのですね。何度も経験することで徐々に慣れていく味なのです。食べないからといってすぐに「これは嫌いな食べ物」と決めないで、食べやすいように工夫してあげるようにしみましょう。

離乳食では、味だけでなく食感、舌触り、匂い、温度、色彩など、五感で感じながら食べ物の美味しさを覚えていきます。また食事の時の環境も影響していて、周囲の人が幸せそうに食べている、友達と一緒に楽しそうに食べている、など楽しい経験が多いと好き嫌いなく食べることに繋がってきます。

いろいろな味に触れさせてあげて、いろんな味覚を発達させていきたいものです。

毎月 第2・第4木曜日に更新

次回は 2024年 1 月 11 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

助産師として多くのママをサポートした経験から、
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