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#25
葉酸を摂りましょう!

最近「葉酸」という言葉を耳にするようになりましたね。
それは厚生労働省が妊娠可能な年齢の女性に対して葉酸摂取の必要性に関する通知を2000年に出したからなのです。
ビタミンやミネラルは、通常の食事から摂ることが推奨されていますが、葉酸だけはサプリメントからも摂る必要があります。
食事以外に、サプリメントからでも摂る必要がある葉酸、何故なのか詳しくみていきましょう。

リスクを減らす 葉酸とは

リスクを減らす葉酸とは

葉酸は、ビタミンB群の1つで、細胞を作るために必要な核酸を合成したり、赤血球の形成に関わったりするビタミンです。
妊娠初期(妊娠4~12週)は、胎児の脳や脊髄が作られる時期なのですが、この時期にしっかり葉酸を摂ることで、二分脊椎症や無脳症などの神経管閉鎖障害の発生リスクを減らすことができます。
妊娠4~12週という時期は、まだ妊娠初期で本人は妊娠に気がついていない時期でもありますし葉酸は体内に入ってもすぐには作用しないため、赤ちゃんが欲しい!産みたい!と思ったら、妊娠する前から葉酸をしっかり摂っていく必要があります。

神経管閉鎖障害は、日本では、1万人に6人ほどの比率で発生していますが、葉酸を摂ることでそのリスクを減らすことが可能になります。
諸外国では、葉酸を小麦などに添加することで摂取しやすくなり、この病気を減らすことに成功していますが、日本では、小麦への添加はされていないために発症率は減少していません。

私の「 #07 つらい体験 」で書きましたが、助産師になる前に無脳症の児の出産に立ち会ったことがあり、本当につらい思いをしました。私だけが辛いのではなく、出産した母親はどんなに辛く苦しい思いをしただろうと想像します。

神経管閉鎖障害とは、「神経管」を作る過程で起こる赤ちゃんの先天性異常のことです。
神経管閉鎖障害の中でも「二分脊椎」は日本でも発生率が高い病気です。
脊髄は、本来脊椎の中を通っているため守られているのですが、お尻側の神経管がうまく閉鎖しなかったことで、脊髄神経の一部がむき出しになってしまった状態を二分脊椎といいます。神経が損傷しやすい状態であり、もし傷ついてしまうと、足の筋力低下による歩行困難や皮膚の感覚が感じにくくなる、尿や便のコントロールが難しくなる、などの症状があります。適切な治療やケアをすれば、元気に生活できますが、腎臓の機能が低下したり、感染症になったりして、合併症が起こることで命にかかわることもあります。
また、背中の皮膚に欠損があって、外に神経がむき出しの場合は、出生後すぐに閉鎖する手術が必要になりますが、重症度によって違ってきます。
無脳症は、神経管閉鎖不全の中でも重度のもので、頭蓋骨や頭部の皮膚が正常に形成されない状態をいい、脳組織が羊水にさらされたり頭部から流れ出たりします。
脳は、人間が生命を維持するために重要な役割を担う臓器です。そのため無脳症の子どもが生存するのは難しく、出産できたとしても生後数日~数週間で亡くなる場合がほとんどです。

葉酸は、水溶性ビタミンB群に分類される必須栄養素ですが、人間のカラダの中では、つくることができません。そのためサプリメントなどの栄養補助食品から摂る必要があります。
2000年に厚労省から「妊娠の可能性がある女性が通常の食事からの葉酸摂取に気をつける事に加えて、栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取することにより、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性」について通知を出していて、葉酸の必要性が提言されています。

造血のビタミンとも呼ばれる葉酸 貧血にも役立つ

造血のビタミンとも呼ばれる葉酸貧血にも役立つ

また、葉酸は、造血のビタミンとも呼ばれており、ビタミンB12とともに赤血球を作り出しています。貧血というと鉄分が不足しているというイメージがありますね。でも血液の成分である赤血球を作り出す葉酸が不足することでも貧血が起こります。
葉酸不足による貧血は、悪性貧血と呼ばれ、特に妊娠中はお腹の中の赤ちゃんにも栄養が必要なため普段の食事による葉酸摂取だけでは不足しやすいので、悪性貧血が起こりやすいと言われています。

《 葉酸を多く含む食品 》
緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなど)や果物ですが、注意点としては、葉酸は調理や長期保存によって酸化すると壊れてしまい成分がなくなってしまいます。
野菜や果物は生で摂ると良いのですが、緑黄色野菜は、生で食べにくいものが多いのがが難点です。
生で摂れるもの、葉酸を摂りやすい食材としてはニラ、アボガド、いちご、納豆、などがあります。

用量をきちんと守って服用する必要が 葉酸の過剰摂取

用量をきちんと守って服用する必要が葉酸の過剰摂取

では、逆に葉酸を摂りすぎるとどうなるのでしょうか。
葉酸を過剰に摂ると発熱や蕁麻疹などの症状を引き起こすことがあります。体調に異変を感じた時、葉酸の過剰摂取ではないかと思われる方は必ず医師にご相談ください。
厚労省から「葉酸の摂取は、1日あたり1㎎(1000μg)を超えるべきではない」と通知しています。
食物から摂る場合の過剰摂取の心配はほとんどありません。しかしサプリメントの葉酸は吸収率が高いうえに手軽なので、用量をきちんと守って服用する必要があります。

葉酸サプリメントを飲み忘れたからといって、次に2倍飲むようなことはおやめください。サプリメント自体は、時々飲み忘れても影響はさほどないと考えてよいでしょう。大切なのは、継続して服用することです。

サプリメントを上手に使いながら、普段は緑黄色野菜や果物もしっかり摂っていきたいですね。

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次回は 2024年 11 月 28 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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