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臍帯血って何?
いろいろな病気の治療に有効貴重な臍帯血を採取できるのは出産時だけ
臍帯とは産まれてくる赤ちゃんのへその緒のこと、第18回目の投稿では「でべそ」についてお話していますが、臍帯は、お腹の中で、お母さん側にある胎盤と赤ちゃんを繋げているもので、赤ちゃんは臍帯を通してお母さんから栄養や酸素をもらって育っていきます。
出産時の臍帯は、直径2cmくらい、長さは50~60cmほどです。
臍帯血の成分には、骨、筋肉、心臓、皮膚、神経、血液、など身体のもとになる「幹細胞」が豊富に含まれています。特に血液のもととなる造血幹細胞や神経・骨・筋肉・脂肪などの元となる間葉系幹細胞が多く含まれていることが発表されておりいろいろな病気の治療に有効だという研究結果も出されています。
そんな貴重な臍帯血を採取できるのは、出産時だけなのです。
そのような貴重な臍帯血を採取することができるのは、出産時のほんの瞬間だけ、赤ちゃんを出産してからわずかの間だけです。
赤ちゃんを出産すると臍帯はすぐに切り離されます。その時胎盤と臍帯はまだ母体の中にある状態ですが、胎盤は、後産(あとざん)ともいわれていますが、出産後10分足らずでママのお腹から自然に排出されてしまうので、その10分の間に採取する必要があるのです。
臍帯血を採取するには、臍帯に注射器の針を刺して臍帯血を採取、そして専用バックに保存します。
臍帯の表面に針を刺しても痛みなどを感じる事はありませんので安心してください。臍帯血は通常70~80cc程度採取しますが、その後胎盤がママのお腹から自然と排出されて、そしてお産が終わります。
世界では、この臍帯血を利用することでさまざまな治療に役に立つことが研究されています。
ただ、臍帯血採取専用バックを用意するためには出産する前に登録する必要があります。
臍帯血を保管する方法は2種類公的バンクとプライベートバンク
では大切な臍帯血を保管するためには、どうしたらよいのでしょうか。
日本で保管する方法は二つあります。公的バンクとプライベートバンクです。
公的バンクでの接種を希望する場合は公的臍帯血バンクと提携した医療施設での出産に限定されており提携している病院施設だけでしか接種はできません。つまりその施設で出産する必要があります。
公的臍帯血バンクで保管している臍帯血は、出産したお母さん方から無償で提供していただくことで、多くの白血病などの病気で臍帯血を必要としている患者さんに使うことができるようになっています。
現在全国6カ所ある公的臍帯血バンクには約1万本の臍帯血が保管されており、白血病や再生不良性貧血など厚生労働省令で定められている特定の病気にかかってしまい、臍帯血移植が必要となった場合、すべての人が提供を受ける権利があります。
白血病というと骨髄移植が知られていますが、骨髄移植と比較すると、拒否反応が起こりにくいことやドナーの負担が少ないなどのメリットがあります。
プライベートバンクは、赤ちゃん本人やその家族が難病に罹ったときに使うことを想定して、個人のために個人の臍帯血が保存されていて、将来のために治療法が確率されていない病気のための保険として利用することができるものです。血縁関係が高いためにマッチングの確率も高くなるメリットがあります。
血液疾患以外にも脳性麻痺、自己免疫疾患、脳神経障害などの治療にも使われています。
ただし、保管のための費用は個人が負担する必要があります。
また、プライベートバンクは業務内容や管理方法などを厚生労働症に届け出る必要があります。
厚生労働省は、業務内容を把握し、契約した人に対して臍帯血プライベートバンクの業務に関する適正な情報が提供されることを確保するため、業務内容、保管臍帯血の管理体制など、届け出や報告などを求めています。
現在、プライベートバンク事業の届け出を行っているところは、以下があります。
- ● 株式会社ステムセル研究所 https://www.stemcell.co.jp/
- ● 株式会社アイル https://www.saitaiketsu.com/
資料請求などもできますので、よく家族で検討して、どうするのが良いのかを決めるのがよいですね。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
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