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#10
ちょっと休題 小澤征爾さんのこと

気さくなお人柄 世界的に有名な指揮者 小沢征爾さん

気さくなお人柄世界的に有名な指揮者 小沢征爾さん

2014年10月に、あの世界的に有名な指揮者、小沢征爾さんとお目にかかったことがあります。その時はお目にかかっただけでなく、お食事までご馳走になりました。

看護学校時代の友人から、小澤征爾さんが看護師を必要としているらしい、助けてほしい何とかならないか、という相談がきました。小澤征爾さんの体調について何かが起こっているのではないかと思いました。

その頃、私が経営していた会社は、看護師資格を持っている人間が7~8名いましたので、早速看護師有志でヘルプする「チーム小澤」を組んで支えよう、とみんなで張り切りました。まずは、どのようなご様子なのか、何を求めていらっしゃるのか、お話を伺いたい、と思い、お目にかかることになりました。

秋の昼下がり、成城学園前駅の小澤さん行きつけのお店が指定されました。
ちょっと緊張した私は、紹介してくださった方と小澤さんを待ちました。小沢さんは、笑顔一杯で、とてもお元気なお姿で現れられたので「あら、こんなにお元気なのに看護師が必要なのかしら」と感じたほどです。気さくなお人柄にこちらの緊張も一気に緩みました。

「最近は、指揮台の後ろに背もたれなんかが作ってあって、みっともないだろう!」などと笑顔で私に話かけてくださいます。それだけでなく、昔話もたくさんしてくださり、そこに成城学園高校の同級生も同席されていて「小澤を指揮者にしたのは俺なんだよ」「高校時代にラグビー部に誘ったんだけど、すぐに突き指しちゃってさ、ピアノが引けなくなったんで、仕方なく指揮者になったのさ、だから俺が指揮者にしたということなんだ」と楽しそうに懐かしそうにお話してくれて、小澤さんもニコニコしながらうなずいています。しばらくすると奥様のベラさんもいらして、本題に入りました。きいてみると、長く勤めていた住み込みのお手伝いさんがやめられて、その代わりがほしいということだったのです。ですから、看護師の必要性はなかったのでそのお話はそこで終わりになりました。

とても苦労された 世界一のマエストロ

とても苦労された世界一のマエストロ

写真のようにサインをしてくれて、何かあったら電話をください、と携帯の電話番号も教えくださいました。有名な方なのに偉ぶらなくて驚きましたが、超一流の方というものは、こんなに気負わず気さくで皆さんに優しい方なんだな、と感動と同時に不思議な気持ちと嬉しい気持ちで家路についたことを思い出します。楽しかったので何の食事をご馳走になったのかは、すっかり忘れてしまいましたが、とても温かい気持ちになったことを覚えています。

小澤さんは中国から引き上げて来られて、とても苦労されたとのことです。また最初から指揮者を目指していたのではなく、偶然にスタートされたにもかかわらず、その道を極めるために、いろいろなことに挑戦して、修行をされています。まだ日本人がどこの何者なのかも世界ではわからないときにヨーロッパやアメリカへ行って認められるようになりました。もちろん才能があったので、結果として認められたのは、当然のことなのですが、その時々に辛い想いをたくさんされただろうことは想像に難くないと思います。日本でもNHK交響フィルにボイコットなどされて、日本ではもう演奏しない、と決めて渡米されたなどということも。

1つ1つ与えられた仕事を自分らしく精一杯行った結果が世界一のマエストロ!ということになったのだと思うのです。多くの経験と苦労がその人を作る、ということなんですね。

可愛い子には旅をさせよ 経験がその人を作っていく

可愛い子には旅をさせよ経験がその人を作っていく

「苦労は、買ってでもしろ」「可愛い子には旅をさせよ」などという昔からの言葉がありますが、今は大変なことはしないようにと親がカバーしてしまい、過保護になっている傾向を感じます。苦労することは、もちろんその時その時は大変なのですが、経験がその人を作っていく、と考えるとあえて親が手を出さない、という選択も大事なことのような気がします。

今年2月、小澤征爾さんの訃報に接し、成城学園時代のあの同級生の方は、どんなにお力を落としていらっしゃるだろう、ご家族はもちろん、小澤征爾さんを包んでいた成城学園前の空気・住んでいる皆様がた、とても落胆されていらっしゃるだろうな、そんなことを思いながらご冥福をお祈りしました。

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次回は 2024年 4 月 11 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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