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#12
産後のカラダ

出産後のカラダ 絶対に無理は禁物

出産後のカラダ絶対に無理は禁物

赤ちゃんが産まれ出産が終わったママは「やっと大仕事が終わった!やれやれ」と思うでしょうが、その後間もなくそれが終わりではなく、育児の始まりなのだ!と気が付きます。赤ちゃんとの新しい生活は、授乳に、オムツ替え、寝かしつけにと、いずれも待ったなしです。ママ自身の事、出産後のカラダの回復になかなか目が向きにくいかもしれません。しかし、ここで絶対に無理は禁物!カラダへのダメージがのちの健康に大きく影響することになるのです。

出産後、ママのカラダとココロは劇的に変化をしながら、妊娠前のカラダの状態に戻って行こうとしています。医学的には、出産後から6~8週間の変化を「産褥期(さんじょくき)」といい、多くの病院では産後1ヶ月くらいに検診をおこなってカラダが戻っていく過程が順調かどうかを確認しています。
では、この期間にカラダにはどんな変化がおこっているのでしょうか?

子宮は徐々に妊娠前の大きさに戻ります。悪露は一般的に赤色のものから徐々に1ヶ月ほどで茶色から黄色っぽくなり、量も減っていき、それ以降はほとんどみられなくなります。出産後活動量が極端に少なかったり、逆に急に活動量が増えて疲労が蓄積したりすると、悪露の排泄が滞ってしまい、結果、子宮の回復も遅れてしまうことがあります。またそれとは逆に、急に活動が増えたとき、子宮内に溜まっていた悪露が、一時的に多く出る場合もありますが、すぐに落ち着いてくるのがふつうです。出産直後は、創部の痛みを感じることもあります。赤ちゃんのお世話や日常生活に支障が出るほどの痛みがある場合は、主治医と相談の上、痛み止めを使用する場合もあります。多くの方は、退院後に痛み止めを使用しなくても良いほど徐々に回復していきますが、とくに会陰切開部や膣の創は悪露により感染のリスクがあるので清潔を心がけるようにしましょう。

出産後、出血が多いと産後に貧血となる場合があります。貧血の程度が強いと疲れがなかなか改善されなかったり、創の治りが遅かったりなどの影響がでます。また、この時期までリラキシンというホルモンが分泌されている影響で、骨盤まわりやじん帯はゆるんでいるのでスムーズには動きづらいものです。そして、注目すべき変化とし て、膀胱や子宮、直腸などを支える骨盤底筋も出産時のダメージにより緩んでいます。そのような状態で産後、無理して動いてしまい、さらに負担がかかってしまうようなことがあると、子宮・膀胱・直腸などの臓器が下がって尿もれしやすくなる臓器下垂・悪化すると臓器が膣から出てきてしまう骨盤臓器脱、また、腰痛など、この先もずっと大きな不調を引きずることがあります。

産後は早期にどれだけ回復がスムーズにいくか がんばり過ぎず、周りに頼ることが大切

産後は早期にどれだけ回復がスムーズにいくかがんばり過ぎず、周りに頼ることが大切

昔から日本では、出産後から3週間ほどは、布団を引きっぱなしにして赤ちゃんのお世話とママ自身の身の回りのことだけをして、あとはすぐ横になってカラダを休め養生するようにといわれてきました。そして、ようやく3週間目くらいから「床上げ」をして、少しずつ家事をおこなうことで、妊娠前の生活に戻していくのがカラダに良いという風習でした。

これは、医学的な面からいえば、産後のカラダにはさまざまな変化が起きており、無理をせず休息をとることがスムーズな回復へのカギであることと言う医学的検知と一致します。加えて、のちのママのカラダのトラブルを予防することにもつながります。たとえ出産がとても楽で出産後すぐにでももとの生活に戻れそう!と思ってもこの3週間を大事に過ごすことが後々の身体の健康状態に大きく影響してきます。
昔からの言い伝え、大事なこともありますね。

産後のカラダは子宮や出産時のキズだけでなく、全身さまざまなところに影響が及んでいるものなのです。ですから、とくに産後は早期にどれだけ回復がスムーズにいくかによって、この先もずっとあなたを支えるカラダの健康にかかわってくるのです。のちになにかトラブルが起こらないよう、自分のカラダをしっかり休め、その後の不調を予防することも、赤ちゃんのお世話同様、ママの大きな役割です。そのためにはひとりでがんばり過ぎず、家族はもちろん周りに頼ることは大切なことです。また周りの人も積極的なフォローを心がけて欲しいものです。

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次回は 2024年 5 月 9 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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