#18
赤ちゃんの「でべそ」
「でべそ」とは無関係「へその緒」は赤ちゃんをつなぐ重要な役割
通常へこんでいるはずのおへそが飛び出してしまう「でべそ」は、へその緒の切断の仕方で決まる…なんて思っている人もいるのではないでしょうか。
そもそもへその緒というのは、妊娠中に母体側の胎盤と赤ちゃんをつなぐ重要な役割をしています。へその緒の正式な名称は、臍帯(さいたい)といいますが、臍帯の中には2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈、計3本の血管が通っていて、動脈からは、赤ちゃんに栄養や酸素を、赤ちゃんの老廃物や二酸化炭素は静脈を通って母体側へ運ばれるのです。
へその緒の長さは、平均50cmほどですが、長過ぎると赤ちゃんの首や体に絡まったり、結び目ができてしまうという事が起こります。逆に短かったら、出産時に赤ちゃんがなかなか産道に下りてこなかったり、生まれる前に胎盤がひっぱられてしまったり、とどちらもリスクがあります。
出産したら、胎盤と臍帯は役割が終わります。産声を聞いたらへその緒を切るのですが、通常は赤ちゃんを取り上げた医師や助産師が切ります。その際、へその緒をお腹に近いぎりぎりの場所で切っているのではありません。お腹から数センチ離れたところをクリップでとめ、臍帯を切る専用のハサミで切ります。
赤ちゃんのお腹についているへその緒の残りの部分は、個人差がありますが、生後7日~10日ほどで、乾燥してお腹についている付け根からポロリと自然に取れます。それを記念として桐の箱にしまっておいたりしますね。
ですから、へその緒の切り方によって「でべそ」になるわけではありません。
本来へこんでいるはずのおへそでべその原因とは
《 おへそとは 》
「でべそ」は、本来へこんでいるはずのおへそが飛び出してしまっている状態のことをいいます。
通常おへそとは、ほとんどの場合は瘢痕(はんこん)組織や筋膜などの硬い組織がへその緒の穴の部分を覆います。とはいえ覆った組織には脂肪や筋肉はつきませんので、そのためくぼみができ「おへそ」になります。
では、でべそはどうしてできるの??
ひとくちに「でべそ」といっても、おへそが出てしまう「でべそ」には次の2種類の原因があります。
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● 臍突出症(さいとっしゅつしょう)
単純に皮膚だけが飛び出し、おへその中央が盛り上がった状態なのが「臍突出症」です。これはおへその組織である瘢痕組織が皮膚を押し上げ、飛び出た形になることで起こります。原因は、へその緒を切断したあとの傷が完全に乾燥する前に腫れたり膨らんだりしたことで、へこまなくなってしまったことが考えられます。
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● 臍ヘルニア(さいヘルニア)
臍ヘルニアは、おへそが開いていて腹膜に包まれた内臓が飛び出た状態になっていること。これは、おへそが完全にできあがる前に、お腹に力がはいったときに筋肉の隙間から腸が飛び出し、引っこまなくなってしまったことが原因です。臍ヘルニアの場合、おへそのくぼみがなく、全体的に膨らんでいます。
そんなに心配になる必要はない赤ちゃんのおへそ
赤ちゃんの「でべそ」はどうやって治すの?
2歳ごろまでに9割の赤ちゃんが自然に出ていたおへそがへこむため、慌てて手術する必要はないと言われています。
それは、寝返りやハイハイなどで腹筋が発達すると同時に、出ていたおへそもだんだん小さくなることがほとんどだからです。そのため、赤ちゃんのでべそは「圧迫による経過観察」が望ましいとされています。
「でべそ」の圧迫法と言うのは、おへそに綿やスポンジを当て、テープで抑えるといった単純な方法が用いられます。「早いうちから始めれば治る可能性が高い」という意見がある一方で「あまり変わらない」「テープかぶれが起こる」といった声もあり、賛否両論です。
2歳を過ぎてもひどい「でべそ」の場合は、小児科医に相談をして必要ならば、手術を行うとよいでしょう。ただし、臍突出症の場合は、美容整形手術扱いになるので、保険適用外となります。
赤ちゃんのおへそが出ているからといって、そんなに心配になる必要はないですね。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
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