#26
断乳と卒乳のタイミング
母乳はいつまで必要か断乳と卒乳のタイミング
出産後の母親は育児休暇の終わりがみえて来た頃から「母乳をどうしよう、やめるべきかしら」と悩む方は多いようです。
母親の都合で母乳をやめることを「断乳」と表現していますが、最近は子どもから自然な形で母乳から離れていく、子どものペースに任せる「自然卒乳」という考え方が広まっています。
またそれだけでなく1日24時間のうちで部分的に授乳をやめる「部分卒乳」と言う方法、子どもの様子や母乳の状態をみながら徐々に授乳回数を減らしていく「計画的卒乳」という方法もあり、それらを含めて「卒乳」と考えることが一般的になりました。
それにしても本当に母乳はいつまで必要なものなのでしょうか。
母親は母乳をやめようかなと考え始めたとき、実は子どもにとっては続けていたほうがいいのだろうか、それとも続けていることは子どものためにならないのかもと思ったりして悩まれることもあるようです。
WHO(世界保健機構)では、子供が2歳になる または それ以上になるまで母乳育児を続けることを推奨しています。日本でも2002年母子健康手帳からママが母乳を完全に止めるという意味での「断乳」という言葉が削除されました。
長く母乳をあげているとメリットがあるということなのです。
では母乳をあげていることのメリットについて考えてみましょう。
☆ 子どもにとってのメリットとしては
- ● 風邪その他感染性による胃腸炎の予防
- ● 肥満の予防
- ● 認知機能が高くなる
などがあります。
☆ ママにとってのメリットは
- ● 避妊効果がある
- ● 乳がん、卵巣がん、子宮体がんになるリスクが低くなる
- ● 骨粗しょう症などの予防になる
などがあります。
☆ 子どもとママ、両方にとってのメリットは
- ● 母乳分泌・スキンシップによって幸せホルモン、オキシトシンという成分が分泌されることによってリラックス効果があり、まさに幸せを感じる時間が多くなる。
という事があります。
このように母乳をあげることはママにも子どもにもさまざまなメリットがありますので、理想をいえば長く母乳育児を続けられるのに越したことはありません。
しかし、それでもやめるべきかしら?やめたほうがいいのではないかしら?と迷ってしまうことはよくあることです。
そんなときはまず母乳をやめる理由を自分で考えてみて、納得するようにはっきりさせておきましょう。やめたあとに後悔することにならないようにしたいですね。
ママと子どもとで納得して選ぶことが大切
母乳をやめようと思ったきっかけはいろいろな事情があると思いますが、ジレンマやプレッシャー、罪悪感や不安、期待などさまざまな気持ちが交錯しているからでしょう。そんな気持ちや状況のとき以下の選択をするママもいます。
《 1. 部分的卒乳 》
仕事をしている時間だけ授乳をやめる、あるいは夜間は授乳をやめるなど時間や回数を決めて授乳する方法です。母乳回数が減るので離乳食や水分摂取に気を配る必要があります。
《 2. 計画的卒乳 》
仕事復帰のタイミングまでにはどうにかして母乳をやめたいという気持ちが強い場合や、ママの病気の治療のために母乳が飲めなくなる時期に向けて計画的に授乳をやめていく方法です。徐々に完全な卒乳へ移行していきます。
《 3. 自然卒乳 》
子どもが自分の意思で飲まなくなるまで見守り自然な形で卒乳を目指すものです。そのタイミングは子どもによって違います。
最終的な卒乳の選択はママと子どもとで今が一番いいなという時期と思える方法を納得して選ぶことが大切です。
それでも実際にやってみてママも子どももしっくりいかなかったということも起こり得ます。計画卒乳してみたけれどやっぱり続けるほうがお互いに楽なんだわと気がついて、自然に任せることにしたという場合も多くあります。
そんなときは「タイミングが今ではなかったのね」と気持ちを切り替えて軌道修正すればよいのです。
やり直しても決して悪くありませんからね。
子どもが1歳を過ぎた頃になっても母乳の栄養成分はもちろん、免疫成分も変わらずあることがわかっていますので続けて飲ませるメリットはあると言えますね。
さらに感染症の重症化を予防したり精神面でもよい影響もあります。
しっかり抱っこされて目と目を見つめ合って話しかけながらの授乳は、子どもの心に安心や信頼の気持ちを育てます。ママを安全基地として世界を広めていくのです。
ですからママと子どもとの間で納得する卒乳の方法を探していきましょう。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
知っておいて欲しいこと
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