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#35
妊娠中、産後の口腔ケアについて

妊娠したことによって口の中が変化 妊娠初期から後期の口腔ケア

妊娠したことによって口の中が変化妊娠初期から後期の口腔ケア

妊娠するとカラダのいろんなところに変化が起こるものですが、口の中でも下記のように状態が変わったという声をよくききます。


  • 歯肉が腫れぼったい感じがする
  • 歯を磨くと出血する
  • 唾液がねばっこい感じになっている
  • 歯や歯肉に痛みがある

それらの症状は、妊娠したことによって口の中が変化している事が原因となり女性ホルモンが急激に増加することで歯周病原性細菌が増殖しやすくなり、唾液の粘性が高まって、口腔の自浄作用が低下してしまう事が原因で起こる変化です。

《 妊娠初期のケアについて 》
つわりのときは一度に食べられる量が減ってしまうために空腹状態が多くなり、間食などの回数が増えやすい時期です。口腔ケアとしては無理しなくてもいいのですが気分の良い時に歯磨きを行うようにしましょう。歯ブラシはヘッドの小さなものを使用し、歯ブラシを舌に当てないようにすると嘔吐、嘔気を避けることができます。歯磨き剤は香料や味の強いものは避けるほうがよいでしょう。歯磨きができないときは、ブクブクと水でうがいをするだけでも良いでしょう。
この時期は食の嗜好も変わりやすいので、甘い飲食物や酸性食品をだらだら食べるようなことは控える必要があります。

《 妊娠中期のケアについて 》
子宮が大きくなってくるにつれ1回に食べる量が減ってしまうので空腹状態が多くなり間食することが増える時期です。妊娠中は唾液の量が減って、自浄作用が弱まるので歯磨きは食べた後に毎回するようにしましょう。
妊娠中期は体調も安定期ですので歯科治療を受けるには最適な時です。不安な事があるならばこの時期に歯科医院を受診しましょう。
産後は忙しくなりますのでこの時期に積極的に歯科医院に行き治療をしたり、プラーク除去をしたりして、口腔のお掃除をしておきましょう。
歯科治療が必要な場合に局所麻酔をすることがあるかもしれませんが、ごく少量ですので胎児に影響はありません。またレントゲン撮影も防御服を着用すれば問題ありません。 薬の使用はできるだけ避けたいですが、妊娠中期以降で歯科治療に必要な薬剤は、安全に服用できる薬剤が選ばれますが、不安な場合は歯科医師や薬剤師、産科主治医に相談するのがいいでしょう。

《 妊娠後期のケアについて 》
この時期は赤ちゃんが生まれたあとの準備で仕事や家事、その他整理整頓で忙しくなりますが、歯磨きをおろそかにしないように気を付けましょう。
ママの口が不健康だと赤ちゃんに細菌を移してしまうかもしれないので、出産準備とともにオーラルケアにも気を付けましょう。

妊娠中は虫歯や歯周炎にかかりやすい時期 口腔ケアの必要性

妊娠中は虫歯や歯周炎にかかりやすい時期口腔ケアの必要性

お伝えしてきたように妊娠中は、虫歯や歯周炎にかかりやすい時期なので、普通以上に食後の歯磨きやうがいを心掛けましょう。
歯磨きできないときは、デンタルリンスや水でうがいをしましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんは、ミュータンス菌という虫歯の原因となる菌は持ってませんが離乳食の頃にパパママの使ったスプーンをそのまま赤ちゃんに使用したり、大人が噛み砕いたものを赤ちゃんにあげたりすると、赤ちゃんにむし歯菌が移る可能性があります。 ママにむし歯があると、子どももむし歯になる確率が高くなりますので、妊娠中からしっかりケアしておきましょう。

元気な赤ちゃんを産むために 妊娠前からお口の健康は大切

元気な赤ちゃんを産むために妊娠前からお口の健康は大切

歯周病とは、歯肉と歯槽骨(しそうこつ)を破壊する炎症性の病気の事ですが、歯周病とその他のいろいろな病気との関連が解明されてきています。
歯周病の妊婦さんは、歯周病を持っていない妊婦さんと比較すると約5倍も早産になりやすくなります。妊娠中は女性ホルモンが増えることにより、炎症に対する反応が増加して口の中での歯周病原因菌が繁殖しやすくなります。歯周病になると体内の自分を守ろうとする細胞から出産のサインとなる物質が過剰に作られることにより、子宮を収縮させ早産につながることがあります。
歯周病の予防や治療は、元気な赤ちゃんを産むためには妊娠中はもとより妊娠前からも大切なことですね。

もしかすると妊娠すると「お腹の赤ちゃんにカルシウムを取られて歯が悪くなる」などと思っている人がいるかもしれませんが赤ちゃんにカルシウムをとられて、歯がもろくなるなどということはありません。でもきっと昔から歯周病が原因で「妊娠するたびに歯が悪くなった!」という女性が多かったことからそのように伝わってしまったのでしょうね。
妊娠するとむし歯や歯周病のリスクは高まりますが、いつも以上にきちんとケアすることで歯周病を予防することができます。妊娠中は特にお口の健康を保つようにして安心して出産を迎えたいですね。

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次回は 2025年 4 月 24 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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