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#42
妊娠中の食生活

妊娠前から食生活を考えて バランスのよい食事を

妊娠前から食生活を考えてバランスのよい食事を

身体は、いうまでもなく食事から栄養を摂って維持していますので、妊娠前からの身体作りがとても大切です。食生活はそう簡単に変えられるものではありませんので、妊娠してからも妊娠前の食事の摂り方が継続される可能性が大いにあります。
妊娠前から栄養のバランスに配慮した食生活を実践することが妊娠中の健康的な食生活につながりますので、健康な妊娠、出産、育児を過ごすためには、妊娠前から食生活を考えて、バランスのよい食事をしっかりとることを心掛けましょう。

ポイントとしては
主食・主菜・副菜がそろっている食事を1日2回以上食べること

  • 主食とは
    ごはん、パン、麺、パスタなどの炭水化物を多く含み、エネルギーのもととなる料理のことをいい、エネルギー源となります。
  • 主菜とは
    たんぱく質や脂質を多く含み、からだを構成するために必要不可欠な栄養素です。魚介類や肉類、大豆製品などで、特定の食材に偏らず、多様な主菜を組み合わせてたんぱく質を十分に摂りましょう。
  • 副菜とは
    乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などカルシウムなどビタミン、ミネラルは不足しがちなので副菜でとるようにしましょう。妊娠中は胎児のからだを作ったり、産後は授乳により母体からカルシウムが失われます。妊娠前から積極的なカルシウム摂取を心掛けることが大切です。
意識して主食の摂取が必要 妊娠中のカロリーについて

意識して主食の摂取が必要妊娠中のカロリーについて

妊婦の平均的なエネルギー摂取量は1700kcal前後とされています。
妊娠前と比較してみると、妊娠初期にはプラス50kcal、妊娠中期はプラ250kcal、妊娠末期は450kcal多くのエネルギーをとる必要があります。また授乳中も妊娠前に比べるとプラス350kcalのエネルギーをとる必要があります。
エネルギーをしっかりと摂取するためには、炭水化物を中心とした食事を摂取することが必要なのですが、炭水化物の摂取量は20歳から49歳の女性の統計では、減少傾向にありますので妊娠前から意識して主食の摂取が必要となります。一度に十分な量の主食を摂取することが難しかったり、3回の食事で十分に主食を摂取できなかったりする場合は、間食におにぎりを摂取するなど、主食からのエネルギーをしっかりとることを心掛けましょう。

赤ちゃんに十分な栄養や酸素を届けるため 積極的に摂りたい栄養

赤ちゃんに十分な栄養や酸素を届けるため積極的に摂りたい栄養と注意したい食べ物

【 積極的に摂りたい栄養 】

妊娠中は赤ちゃんに十分な栄養や酸素を届けるためにママは血液量が増加しますので、そのためにも積極的に摂りたい栄養素がいくつかあります。


  • 鉄は、血液を作るために大切な栄養素です。赤身の肉や魚、葉物野菜、大豆製品に多く含まれています。たんぱく質やビタミンCと一緒にとると吸収率がアップします。
  • 葉酸
    葉酸は、赤ちゃんの成長や神経管閉鎖障害の発症リスクの低減のため、妊娠する前から妊娠初期にかけて、特に重要なビタミンで、野菜、果物、豆類に多く含まれています。
  • カルシウム
    赤ちゃんの骨や歯を作る栄養素です。日本人は、日頃から不足している人が多いので、しっかりとることを心掛けましょう。牛乳、乳製品、緑黄色野菜、大豆、小魚などに多く含まれています。カルシウムはビタミンDと一緒にとると吸収率がアップします。
    ビタミンDは、きのこ類、卵、鮭、サンマなどの青背の魚に多く含まれています。

【 注意したい食べ物 】

妊娠中は、免疫機能が低下しますので、生ものや半生の食品は避けましょう。
生野菜などは十分に洗浄してから食べるようにしましょう。
またどんな食品も期限内に食べ終わるようにし、食べる前には十分に加熱してください。手洗いはもとより調理器具の洗浄もしっかり行ってください。
魚は栄養をとるのに大事な食材ですが、一部の大型の魚介類には水銀の量が多いものがあります。マグロ、メカジキ、キンメダイなどは食べる量に気を付けましょう。


〈 特に避けたほうがよいもの 〉
  • 生ハム、魚のパテ、スモークサーモン、生卵、生の貝類、生の肉、加熱殺菌していないナチュラルチーズ、などは妊娠中避けた方がいいでしょう。
  • ビタミンAについて
    ビタミンAは、過剰摂取すると妊娠初期に先天奇形が増加することが報告されています。
    レバーやあんきも、うなぎなどビタミンAが多く含まれている食品の継続的な大量摂取は避けましょう。サプリメントを利用する人は特に用量を守ってください。人参など色の濃い野菜に含まれているβ-カロチンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換されるので、β-カロチンという形で積極的にとることはお勧めです。
  • 酒、たばこについて
    妊娠中は禁酒、禁煙が原則です。
    飲酒は、早産や妊娠高血圧症候群などのリスクを引き起こすだけでなく、赤ちゃんの発育不全など赤ちゃんに障害を引き起こす可能性があります。アルコールは、母乳にも移行して、赤ちゃんの発達に影響を与えるため、授乳中も飲まないようにしましょう。
    喫煙は、早産や先天性疾患、死産などの増加の可能性があります。たばこは、ご自分が吸わなくても受動喫煙にも注意してください。子どもの発育障害や乳幼児突然死症候群のリスクが高くなる可能性があります。加熱式たばこもニコチンの含有や発がん物質の発生が報告されています。
  • カフェインの摂りすぎ
    カフェインを過剰に摂取した場合、赤ちゃんの発達に影響を与える可能性があります。
    カフェインは、コーヒー、お茶、コーラ、チョコレートなどに含まれます。
    1日に飲むコーヒーは、2杯くらいにしましょう。飲み物はなるべくノンカフェインのものを利用し、またチョコレートの食べ過ぎにも注意しましょう。


日々の食事の準備で負担に感じることがあれば家族や周囲の人に頼るなど頑張り過ぎないで相談してみましょう。たまには食事の宅配サービスの活用もいいですね。
気分が良い時は、地域の母子センターやサークルなどにも訪問して気軽に相談してみましょう。
生まれてきた子どもが健康に育つためにも食べ物の好き嫌いのない子に育てたいと誰もが思いますが、その為にはまず自分の妊娠中からの食生活を見直すことが子どもにも良い影響を与えます。安全で衛生的な食材を使ったバランスのよい食事を摂ることを心がける事が大切です。それが自分にとっても赤ちゃんにとっても安心して出産できる近道になることでしょう。

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次回は 2025年 8 月 14 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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