多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#39
分娩の種類

臨月になるといよいよ出産!やっと赤ちゃんに会える!!という期待が強くなってきますが人生の一大イベントである分娩についてどんなものがあるのかをここで勉強しておきましょう。

出産方法は、経膣分娩と帝王切開、大きく分けると2つあります。

経膣分娩は、「自然分娩」と「無痛(和痛)分娩など医療介入のある分娩」とに分けられます。陣痛促進剤やバルーンを使用した場合でも、膣から産まれたのであれば、経膣分娩となります。

出産のスタイルもいろいろ 自然分娩とは

出産のスタイルもいろいろ自然分娩とは

医療介入をせずに母体の持つ力で胎児を分娩することを自然分娩と言います。
医療介入はありませんが、会陰切開などは行うことが多いでしょう。
出産のスタイルにも次のようにいろいろあります。



1. フリースタイル出産

自然のまま好きな体勢で出産することを言います。立ったまま、座ったまま、四つ這いなど妊婦が楽にいきめる体勢で出産します。
こちらを希望される場合は、助産院や和室を完備している産院などを選ぶとよいでしょう。いろいろな体勢で胎児を娩出させる必要があるので、フリースタイルの経験のある助産師や産院を選びましょう。


2. ソフロロジー式分娩法

ソフロロジーとは、出産に限らず、精神科医や消化器科などで取り入れられている方法です。 イメージトレーニング、エクササイズによって意識をかえて、リラックスして痛みを逃がす分娩方法です。
取り組んでいる産院で詳しく指導を受ける必要があります。分娩予定の産院でソフロロジー式分娩法に詳しいスタッフが居るかどうか聞いてみることをお勧めします。
また、書籍などで調べることもできます。出産する母親自身の取り組みなので一人で実践することは可能です。


3. ラマーズ法

フランスの産婦人科医が提唱した分娩方法で、日本では1960年代に伝えられ広まっています。ラマーズ法は、痛みを逃がす呼吸方法を実践して分娩をスムーズに進めるものです。「ヒッ、ヒッ、フー」の呼吸法が有名になりましたね。 練習すれば誰にでもできることですが、いざ陣痛がはじまって出産となったときに、慌てず、実践できるように、母親学級や両親学級などでラマーズ法の練習を行うとよいでしょう。


4. 水中出産

水中出産は、文字通り水中で出産することを言い、陣痛が始まったら、出産用の浴槽に浸って、36~37℃のぬるま湯の中で出産します。水中にいることで浮力がかかって、リラックスでき、姿勢を変えるのも簡単にできるので痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、リスクもあり汚染されたお湯やバスタブの使用、不適切な分娩管理によって母児共に深刻な健康被害の症例もあります。 水中出産を検討されている場合は、その施設がどのように実施しているのか細かいことを慎重に確認して臨まれるとよいですね。


5. LDR

LDRとは、Labor(陣痛)、Delivery(分娩)、Recovery(回復)の頭文字をとったもので、陣痛から分娩、産後の回復までを1つの部屋で行うものです。
一般的には、出産は陣痛が始まってある程度子宮口が開くまでの時間を過ごす陣痛室、分娩を行う分娩室、出産後数時間様子を見るリカバリー室に分かれてその都度移動します。
移動すること、特に陣痛室から分娩室への移動は妊婦にとって負担が大きく「とても辛かった」という声をききます。
LDRはその移動がないのがメリットです。
一見入院用の個室と同じようにみえますが、部屋の中には自然分娩に必要な器具がそろっていて、ベッドは分娩台に変形できるようになっています。陣痛から分娩後まで快適に過ごせるように配慮されたお部屋です。
デメリットは、LDR対応している病院が全国的には多くありませんので、予約で埋まっている場合があります。


6. 無痛(和痛)分娩

経膣分娩時の陣痛を軽減させるための方法として、無痛分娩もしくは和痛分娩があります。
無痛分娩では、陣痛時に硬膜外麻酔を実施して、陣痛や分娩時の痛みを軽減させます。
硬膜外麻酔とは、背骨の中にある脊髄のすぐ近くにある硬膜外口腔という場所に、麻酔薬を入れて、陣痛を無くす、あるいは軽減させる麻酔法です。背中からカテーテルという細い管を入れて、麻酔薬を注入し麻酔します。
陣痛時の痛みが和らぐことで、パニックにならずに落ち着いて出産でき、痛みが少ないことで体力的にも精神的にも負担を抑えられる効果があります。
しかし、無痛分娩と言っても多少の痛みは感じますし、陣痛から分娩までの進みが早い場合は間に合わないこともよくあります。また、麻酔を行うことで陣痛が遠のいてしまうなど重篤な副作用が起こる可能性もあるので、十分な情報を得て検討しましょう。
無痛分娩はどこの産院でも行っているわけではありませんので、無痛分娩を希望するならば、まず診てもらっている産院で相談してみましょう。

医療が介入せざるを得ない 経膣分娩

医療が介入せざるを得ない経膣分娩

1. 吸引分娩

吸引分娩は、陣痛が弱まって分娩が進まず、なおかつ胎児を急いで娩出する必要に迫られたときに行います。
赤ちゃんの頭に吸引カップを装着して赤ちゃんを引っ張って分娩を助ける方法です。
出産した赤ちゃんの頭にはコブのような浮腫ができますが、通常2~3日で消えます。


2. 鉗子(かんし)分娩

鉗子分娩とは、吸引分娩と同じように陣痛が弱まってしまい、分娩が進まなくなり、なおかつ胎児を急いで娩出することが求められている場合に行いますが、大きなトングのような器具で赤ちゃんの頭を挟み、引っ張り出しながら分娩を助ける方法です。引き出す力が強いので、赤ちゃんの顔に傷がついてしまう可能性がゼロではありません。
赤ちゃんの顔に鉗子のあとができやすくなりますが、2~3日で消えます。
医師の技術がとても重要なので、使用されなくなっている傾向にあります。


3. 帝王切開

母子に何らかのリスクがあり、経膣分娩が難しいと判断された場合、帝王切開が行われます。麻酔を使って腹部と子宮を切開し、胎児を取り出します。
前置胎盤、重症妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、分娩遷延などのときに適応されます。双子や三つ子など多胎出産、多くの逆子にも帝王切開を行います。
帝王切開は、事前に経膣分娩が難しいと判断された予定帝王切開の場合と経膣分娩中に何らかのトラブルが起こって、手術となる緊急帝王切開とがあります。
いずれも医師が判断する事で、妊婦による希望で実施するものではありません。



出産という体験は、人生で何度も経験できるものではありません。分娩時の思い出は何年経っても記憶にしっかりと残っているものです。貴重な体験を納得できるものにするためにも分娩方法を知り、施設を選択しましょう。
赤ちゃんをどのように出産、育児をしたいのか自分のバースプランを立てることをお勧めします。具体的にノートに記載することで、自分の出産のイメージができますし、細かいことはご主人と話し合いをすることが大切です。医師や助産師にもどうしてほしいかを事前に伝えておくことで納得できるお産につながりますよ。

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次回は 2025年 6 月 26 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

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