多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

#43
破水について

羊水が外に流れ出る 破水とは

羊水が外に流れ出る破水とは

妊娠中のママのお腹の中で、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて中の羊水が外に流れ出ることを破水といいます。
卵膜はお腹のなかの赤ちゃんを保護していて、その中の羊水は赤ちゃんを外からの衝撃から守ったり、体温を一定に保ったり、感染から守ったり、胎児の成長にいろいろ重要な役割を果たしています。
破水は、一般的には、陣痛が始まってから子宮口が開いた後に起こりますが、そのタイミングは人によってそれぞれ違っていて、陣痛が始まる前に起こる場合もしばしばありますが、出産の始まりを告げるサインの一つでもあります。
破水は一度に大量の羊水が出ることもあれば、尿漏れのような感覚で少しずつ出ることもあります。
羊水は、通常無色透明か白濁した液体です。妊娠中はおりものが増加したり尿漏れが起きたりしますので、破水なのかどうか区別がつきにくいかもしれません。
分かりにくいときは、においをかいでみましょう。羊水のにおいは生臭い特有のにおいがあり尿のにおいとは、明らかに違いますのでわかります。
破水の量は少量から大量までいろいろありますが、尿漏れは下着が濡れる程度の少量で立ち上がる時などに腹圧がかかって出ますが、腹圧がかかっていないのにも関わらず流れ出て来るのが破水です。
ただ、破水が起きてすぐに陣痛が始まる場合もありますが、すぐには陣痛が始まらないこともあります。

破水は、発生時期や場所によっていくつかの種類に分られています。

  1. 1. 適時破水
    陣痛が始まってから分娩進行に伴って自然に起こる破水をいいます。
    最も一般的な破水で分娩の進行に合わせて適切なタイミングで起こるので、自然な経過であり通常特別な処置は必要なく、破水後スムーズに分娩が進行していきます。
  2. 2. 前期破水
    陣痛が始まる前に羊水が破れて、破水が起こることをいいます。
    破水は、通常妊娠37週以降に起こることが多いのですが、早すぎる場合はすぐに病院へ連絡し受診してください。前期破水が起こると子宮内に細菌が侵入しやすくなり、胎児に感染が及ぶ可能性が高まるので早急な受診が重要です。
  3. 3. 高位破水
    子宮口から離れた高い位置で卵膜が破れることを高位破水といいます。
    前期破水の一種ですが、羊水は少しずつ漏れ出すので、尿漏れやおりものと間違われることもあり、破水だと気が付かない場合もあり発見が遅れてしまうこともあります。
    高位破水では、羊水がすべて出てしまうことはあまりないので胎児への影響は少ないとされていますが、感染のリスクはありますので病院での管理が必要です。
正しい知識を身につけて出産準備を 破水の対処と経過

正しい知識を身につけて出産準備を破水の対処と経過

破水が起きた時は、すみやかに以下の対処をしていきましょう。

  1. 1. 下着を清潔なものに交換して、清潔な大きめのナプキンを当てましょう。
  2. 2. 破水で不快に感じることがありますが、破水した後は入浴やシャワーは避けてください。感染のリスクが高まり危険です。またウォシュレットも避けましょう。
  3. 3. 破水したら慌てず病院へ速やかに連絡して指示を仰ぎましょう。迷った場合も病院へ相談してみましょう。破水した時間を記録して病院に伝えましょう。もし破水かどうか疑わしい場合でも記録を取っておきましょう。時間だけでなくその時の状況や流れたものの色やにおいを記録しておくとよいでしょう。
  4. 4. 病院へタクシーや自家用車で行く場合は横になって移動してください。
    タクシーを利用する場合は、あらかじめ妊婦専用サポートタクシーに登録しておくことをおすすめします。助産師などからの指導を受けた専門ドライバーと対処セットを搭載したタクシーなので、より安心して受診することができます。
    自家用車の運転は自分で行うのは避けてください。他の家族の運転で移動してください。車内では横になってビニールシートとバスタオルを敷いて移動します。
    移動手段がない場合は、病院と相談して救急車を要請することもあります。

破水後の経過は個人差が大きく、いろいろなパターンがあります。

  1. 1. 自然経過で様子をみる
    妊娠38週以降で破水した場合、自然に陣痛が始まり分娩に移行するケースが多く、24時間以内に陣痛が始まるでしょう。
  2. 2. 誘発分娩を行う
    破水後、一定の時間が経過しても陣痛が始まらない場合は、誘発剤などで陣痛を誘発することになるでしょう。
  3. 3. 場合によっては帝王切開を行うこともある
    胎児の状態や母体の状況によって医療機関では帝王切開を選択する場合もあります。特に前期破水で感染のリスクが高い場合や胎児の状態が心配な場合などが該当します。
  4. 4. 妊娠37週未満(早産期)の対処
    早産期に破水が起こった場合は、すぐに陣痛促進剤を使用することはせず、感染の予防や赤ちゃんの肺を成熟させるための処置を行いながら、病院で安静にして様子をみることになるでしょう。

どんな破水でも破水が起これば出産間近だといえます。破水に気が付いたら、すみやかに医療機関に連絡して指示を受けましょう。
破水について、以上の正しい知識を身につけ出産にむけて準備しましょう。そして実際に起きた時は慌てずに対処するようにしましょう。

内容に関するご意見・ご感想や
育児のお悩みを募集

「助産師さんに聞いてみた」では、今後取り上げて欲しいお悩みを随時募集しております。お問い合わせフォームからご意見・ご感想や育児にまつわるお悩みなどをお寄せください。「助産師さんに聞いてみた」のリーフレットをご希望の場合もお気軽にお問い合わせください。

件名欄を「助産師さんに聞いてみた」に関するご意見・ご感想に

お問い合わせフォームの件名欄を「助産師さんに聞いてみた」に関するご意見・ご感想を選択の上、内容を入力し送信ください。

  • 内容確認のためご連絡させていただく場合がございます。
  • 返信や記事に取り上げる等のお約束はできません。あらかじめご了承ください。



毎月 第2・第4木曜日に更新

次回は 2025年 8 月 28 日(木)に配信予定
お楽しみに!

助産師 南部洋子先生
お話いただいたのは

助産師 南部 洋子 先生

東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。

助産師として多くのママをサポートした経験から、
知っておいて欲しいこと

Check! あいまいさに耐えるということ
助産師さんに聞いてみた - TOP
INDEX助産師さんに聞いてみた

多くのママパパが抱える子育ての不安に助産師さんが寄り添うBlog

→ more