#54
母乳を出すための胸のケア
赤ちゃんが産まれたら母乳で育てたいけど、自分にできるかしら?と不安に思っている方は意外に多いようです。
「果たして十分に母乳がでるだろうか」「夜中に何度も起きておっぱいをあげるなんて、できるかしら・・」などの不安な気持ちの方から「まあ、母乳が出てくれたら!」というくらいの控えめなお気持ちの方もいらっしゃるでしょう。
でも、実は女性のカラダは妊娠したら誰でもおっぱいをつくるための準備がなされていますので、もともと備わっているそのチカラを最大限に生かせるよう、母乳育児のための準備、サポートなどのポイントをお伝えしたいと思います。
自然に母乳を分泌するための妊娠というカラダの変化
〇 母乳の分泌量
母乳の分泌量は、乳房の大小や体質で決まるものではありません。乳房の大きさは脂肪組織によって左右されるものですので、母乳分泌には直接影響はしません。小さい乳房だったとしても、妊娠4カ月のはじめ頃から母乳の基礎となる成分が集められ、赤ちゃんにとって重要な免疫物質などを含む初乳が作られ始めます。そして妊娠中はホルモンの変化によって母乳の工場である乳腺が発達していき、産後の母乳分泌のための準備がなされるのです。
このように女性は妊娠というカラダの変化に対応して、自然に母乳を分泌するための準備を行うなど、母乳育児をしていくチカラが備わっているのです。
〇 乳頭、乳輪について
妊娠中の方に「自分の乳房や乳頭をよくみたことがありますか?」と質問すると意外に多くの方が「まじまじとみたことがなかった!」と応えます。母乳育児の準備の第一歩として、まずは妊娠中にご自分の乳房や乳頭に関心をもって観察してみましょう。
一般的には、乳房の大小、乳頭の形や大きさなどが母乳育児に必ずしも影響を与えるとは言えません。赤ちゃんがおっぱいを含んで母乳を効果的に吸うためには、乳頭の形や大きさ、伸びだけでなく、抱き方や含ませ方、赤ちゃんの吸い付き方など、色々な要素が影響しているからなのです。
乳頭が乳輪より内側に引っ込んでしまっている陥没乳頭や、乳頭が乳輪とほぼ同じ高さの扁平乳頭などでは、赤ちゃんの吸い付きが難しい場合もあります。ただ妊娠初期にはそのような乳頭の形状でも妊娠経過にともなって、少しの刺激で自然に突出してきたり、出産後赤ちゃんが吸うことでさらに含みやすく突出してくることもしばしばあります。
赤ちゃんにとって吸いやすいおっぱいにしたいと願うのは皆同じ気持ちですね。赤ちゃんにとって吸いやすいおっぱいとはやわらかくて伸びのある乳首です。硬いと赤ちゃんがおっぱいを吸う時にパワーが必要となり疲れてしまいますので。赤ちゃんは乳頭だけでなく乳輪全体を口に含んで舌で丸め込むようにして母乳をしぼりだして飲みますので乳頭だけでなく乳輪までやわらかくなるようにお手入れするのがいいでしょう。
自分の乳房や乳頭を観察したら、次はぜひ健診先の助産師にもみてもらって、出産後の授乳についてイメージできるようなアドバイスをもらっておきましょう。
あまり気負わないことも大切母乳育児のための準備
〇 乳頭のお手入れについて
乳頭の先に母乳などの分泌物や衣類の繊維カスなどが付着しているようなら、オリーブオイルなどを含ませたカット綿をお風呂に入る1時間ほど前に乳頭に湿布するように貼って、やわらかくしてからそっと洗うようにするとよいでしょう。ただし乳首の手入れをすると子宮を収縮させるホルモンが分泌されますので、妊娠5カ月以降の安定期に入ってから行うようにしましょう。お腹が張り気味の人や医師から安静にするように指示がでている人は、医師や助産師に相談してから行うと安心でしょう。
また、先輩ママさんなどから「乳首が切れた」ということを聞いたことがあるかもしれません。
乳首に亀裂ができて痛い場合、赤ちゃんの吸う位置(ポジショニング)と含ませ方(ラッチオン)を見直すだけでも改善されるものです。乾燥していると切れやすい要因にもなりますが乳輪には、モントゴメリー線(※モントゴメリー線とは乳輪にある小さな皮脂線の事)というところから自然に分泌液がでていて、肌を保護し細菌の増殖を防ぐ役割をしています。ですから石鹸でゴシゴシと洗わないようにしましょう。
授乳時に消毒用アルコール綿などで乳首を拭いて消毒することは乾燥を招きますのでやめましょう。
そして乾燥が気になるような時は保湿クリームを優しく塗ってもいいですね。
はじめてのことばかりでいろいろ不安や心配もあるでしょう。
出産前に、特に産後1か月位までの育児に集中できるような環境を整えておくと安心です。妊娠中から産後の生活をイメージして、サポーターを確保しておくことも大切です。パートナーに理解してもらうことはもちろんですが、近くに母乳育児の専門家がいるかどうかを保健センターなどの窓口で確認しておくと安心ですね。もちろん出産場所でフォローしてもらえるかどうかなども妊娠中から情報を集めておきましょう。
皆さんにお伝えしたい事は、母乳育児をするということは100%母乳で育てるということではありません。少しの間、少しの量でも母乳を飲ませてあげられたら、それは立派な「母乳育児」です。
色々考え過ぎて妊娠中からあまり気負わないことも母乳育児をするうえでとても大切なことです。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
知っておいて欲しいこと
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