#69
生理不順とは
なぜ不調が起こるのか身体の働きを調整する重要な物質「ホルモン」
前回は、生理のしくみ についてお話ししました。
順調にいけば毎月きちんと月経はくるものですが、遅れたり、早くなったり、月経時に辛い症状がでてきたりする人は多いと思います。
今回は、なぜそのような不調が起こるのかをみていきましょう。
そもそも「ホルモン」とは身体の働きを調整する重要な物質で、骨や筋肉の成長、エネルギーの代謝、血圧、食欲や食物の消化などもホルモンの影響を受けています。ビタミンのように食物から取り入れるものではなく、脳やさまざまな器官でつくられています。たとば「インスリン」は膵臓で作られますし、「アドレナリン」は、腎臓の上にある副腎というところの髄質から分泌されるホルモンです。現在100種類以上のホルモンが発見されています。
血液中に占めるホルモン量は、50mプールいっぱいの水に対し、スプーン1杯程度のわずかな量で効果を発揮します。ホルモンはバランスがとれていることが大切で多すぎても少なすぎても健康に影響があらわれます。
《 女性ホルモン 》
たくさんのホルモンがある中で、女性の卵巣で作られているのが「女性ホルモン」です。
女性ホルモンのことは、前回お話しましたが「妊娠・出産の機能、そのための身体づくり」という役割をもっています。
女性ホルモンには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。
この女性ホルモンは、イキイキとした毎日をサポートする重要な役割をもっていますが、その一方でごくわずかな量で作用するために、ちょっとしたバランスの乱れがさまざまな不調につながることにもなります。
《 年齢による変化 》
この女性ホルモンは年齢によって分泌量が変化していき、特にエストロゲンの変化は身体に大きな影響を与えます。
思春期になってエストロゲンの分泌量が増え始めると初潮を迎えます。月経が始まると、月経不順や月経困難症などのトラブルが起こる場合があります。20~30代の性成熟期は、エストロゲンの量も多く、心身ともに調子が整いやすい時期ですが、子宮内膜症や子宮筋腫など女性特有の疾患が現れることもあります。40代半ば~50代半ばの更年期になると「更年期障害」と呼ばれるさまざまな不調が出てくるのは、エストロゲンの減少が深く関係しています。のぼせ、ほてり、疲労感、不眠などさまざまな不調が現れます。また筋肉量の低下や脂質代謝機能の低下によって、体重増加に悩む人も増えてきます。
閉経を迎えると、エストロゲンの減少により骨粗しょう症や動脈硬化、心筋梗塞などの疾患のリスクも高まります。
病気が隠れている場合も生理不順について
それでは、生理不順について、詳しくみていきましょう。
《 症状 》
月経不順には、周期が24日以内と通常より短くなる「頻発月経」と39日以上と長くなる「希発月経」があります。また妊娠していないのに3カ月以上月経がない「無月経(続発性無月経)」などの症状があります。
月経不順にともなって、排卵周期の乱れがあったり、排卵が止まっていたりする場合もあります。1回の月経の継続日数が普段より短くなったり長くなったりすることや不正出血がみられることがあります。
頻繁な不正出血は、量が多いときは貧血を引き起こすこともあります。また、ホルモンバランスの乱れによって、骨の量が減少したり、子宮体がんになる確率が高くなったりするといわれています。長期にわたって卵巣機能の低下が続くと、不妊の原因になることもあります。
《 原因 》
ストレスや過度の体重減少のほか、環境の変化、卵巣や子宮の病気、ホルモンを調整する脳部位の病気、薬剤の影響などがあります。
ストレスなどによる一時的な月経周期の乱れも、放置してホルモンバランスが乱れた状態が長く続くと不妊につながることがあります。
また腫瘍などの治療が必要な病気の場合もあります。
○ 生活習慣や環境による影響
ダイエットや肥満、ストレス、疲労、環境の変化などがホルモンバランスに影響を与え、短期的に月経周期が乱れることがあります。過度な体重減少や過度なストレスはホルモンを調節する視床下部という脳の部位に影響を与え、卵巣機能の障害を引き起こす可能性があるのです。
○ 卵巣の病気
卵巣の病気のうち、月経不順の原因として比較的多い病気は「多嚢胞性卵巣症候群」があります。この病気の原因はわかっておらず、男性ホルモンの量が増えることにより排卵しにくくなり、月経不順や無月経を引き起こすといわれています。
男性ホルモンの影響で体毛が濃く、にきびができやすい、太りやすく痩せにくい、といった症状が現れます。
その他、卵巣腫瘍や早発卵巣不全(40歳未満で閉経のような症状が起こる病気)など、卵巣機能が低下すると月経不順になります。
○ その他の臓器の病気
脳下垂体:脳下垂体は、月経に関わるホルモンを調節する働きをしています。脳下垂体に腫瘍ができる、またはその腫瘍を手術で取ることで、ホルモンバランスが変化して月経に影響がでることがあります。
甲状腺:甲状腺の機能が低下した影響で、プロラクチンが増えることがあります。プロラクチンは、母乳の分泌を促したり、出産直後の妊娠を抑えたりする作用があるので、通常は妊娠中や出産後に増加するものです。また、妊娠中や出産後でもないのに何らかの理由でプロラクチンが高値の場合、排卵を障害して月経不順となることもあります。
○ 薬剤や治療の影響
うつ病やパニック障害の治療のために処方される精神安定剤の影響で、プロラクチンが高まり、排卵が止まることがあります。また抗がん薬治療や放射線治療、卵巣の手術などの影響で卵巣機能が低下して、排卵が障害され月経不順となることがあります。
○ その他の原因
月経が止まる原因として妊娠や閉経がありますが、これらは自然な変化であり病気ではありません。また初潮を迎えてから数年は、排卵周期が定まらないことも多く、月経不順があっても正常な乱れの範囲内と言える場合もあります。
一方、月経不順だと思っていたのが、実は月経ではなく不正出血である場合もあります。
不正出血は、ポリープや子宮腫瘍、血液凝固異常などのほか病気が隠れている場合があるため、心配なことがある場合は受診しましょう。
《 検査・診断 》
月経が遅れている場合には、まず妊娠でないことを確認します。妊娠でない場合、月経不順や無月経の診断のためには、問診のほか、血中ホルモン濃度の検査や超音波、CT、MRIなどを用いた画像診断が行われます。
必要に応じて、子宮の細胞や組織を取って検査したり、染色体検査が実施されたりすることもあります。
ホルモンバランスの乱れについては、原因となる部位(視床下部、脳下垂体、卵巣など)と乱れのパターンを見極めるために複数のホルモン血中濃度を測定します。
《 治療 》
月経不順では、これから妊娠を希望しているかどうかで治療が異なります。初経から間もないあるいは閉経が近いと月経不順が起こりやすい状態であるため、ひどい貧血などがみられない場合は、経過観察となることが多々あります。
原因として、病気や脳や卵巣などに腫瘍が見つかった場合は、薬物治療または手術による切除を試みることもあります。
甲状腺機能低下症に対しては、甲状腺ホルモンを補充することによって排卵が正常に回復することができます。また服用中の薬剤が原因で高プロラクチン血症となっている場合は、治療中の病気の優先度を考えながら、薬の減量や処方の変更を検討し、必要に応じてプロラクチンを下げる薬を使用します。
その他原因をみつけながらそれにあった治療をして様子をみていきます。
月経は、女性の体と心の健康状態を映し出す大切なバロメーターです。
お伝えしたように生理不順の裏には、病気が隠れている場合があります。
放置せずに婦人科を受診して相談してみましょう。
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助産師 南部 洋子 先生
東京医科歯科大学医学部付属看護学校を卒業・国家資格看護師免許取得、日本赤十字社助産婦学校卒業・国家資格助産師免許取得後、東京医科歯科大学付属病院産婦人科病棟にて助産師として勤務。300人以上の出産に立ち会い赤ちゃんを取り上げる。その後女性のカラダをメインとした相談室「株式会社とらうべ」を設立。女性の味方としてすべての年齢での悩み相談を受ける。女性が自分の身体を自分のものとして理解する事。それが全ての悩みの解決に繋がっていくとの信念を持ち、日々向き合っている。
趣味は、夫と旅行、映画・音楽鑑賞、健康麻雀など。
助産師として多くのママをサポートした経験から、
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